ここにしかないあたりまえの味

福井県勝山市。
1000m級の山々に囲まれた緑豊かなまち。
その中心には1級河川の九頭竜川が流れ、山と水、四季折々の美しい情景をみせる。
春の訪れとともに、田畑には米や野菜などを育てる人々が訪れ、田舎ならではの風景が広がる。

「勝ち山さといも」
勝山を代表する農産物。
煮るほどに肉質のしまりがよくなり、崩れにくく、もちもちとした食感が特徴。
美味しさの理由は、長年、受け継がれてきた土壌、水をはじめとした勝山の自然。
まさに勝山の風景そのものが詰まった美味しさになる。

美味しいさといもに必要なのはその大地がもつエネルギー。つまり土壌の養分、そして水。
芽を出したさといもは、根から大地の養分、水を惜しみなく吸収し、みるみる大きくなる。葉は大きく広がり全身で太陽からの光を吸収する。
春に植えたさといもは夏にかけて大きく成長する。8月初旬には大人の背丈ほどになり、畑はジャングルのようになる。
青々と育ち、威風堂々としたその姿の根っこには、日々、天と地からエネルギーを吸って成長し続ける「勝ち山さといも」がコロコロと育ち収穫を待っている。

「勝ち山さといも」となる理由。
それは、種芋にあらず。勝山の土地でないとこの味にはならない。
さといもは大地から養分を吸収する力がとても強く、なんと、同じ畑で続けて植えることはできない。少なくとも4〜5年は空け、違う作物を育てないとまたここに戻って来られない。
つまり、今、あなたが勝山で見た堂々たるさといも畑の風景は来年にはこの場所にはない。今だけの特別な風景。
「今」を全身で吸い取り育ったさといもはまさにその大地そのもの「勝ち山さといも」の味となる。

秋。
大地の養分を吸いきったさといもはあの青々と茂ったジャングルのような畑は様相を一変。葉は枯れ、勇ましい茎はしおれ、その役目を終える。
これが収穫のタイミングとなる。
茎を切り、コロコロとさといものついた株を土から掘り起こす。
その昔、勝山では、土を落としたさといもは「芋ぐるま」に入れて川で洗っていた。川の流れによって、さらに綺麗に磨きあげる。
今では少なくなってしまったが、水の綺麗な勝山ならではの貴重な暮らしと密着した生活の知恵。

収穫された大きなさといもは外へ出荷され、小さなものは洗って天日干しにする。これが「洗い子」と呼ばれ「勝ち山さといも」となり、いつもの暮らしの食卓に並ぶ。
代表的な「ころ煮」は、洗い子を大きな鍋に入れ、醤油とみりん、酒と砂糖を加えて煮るだけのとてもシンプルな家庭料理。 鍋をふり少なくなった煮汁をさといも全体に絡めて出来上がり。
ほくほく、そしてねっとりとした素朴な味わい。しっかりとかみしめると勝山の風景がうかんでくる。
他所では食べられない特別な「あたりまえ」をぜひご賞味あれ。

「勝ち山さといも」3ヶ条
  • ❶ 勝山市内で収穫されたさといもを使用すること
  • ❷ 薄皮の残る「洗い子」を調理した料理であること
  • ❸ さといも愛をぎゅっと詰め込んだ料理であること

「勝ち山さといも」を食べられるお店は下記のPDFをご覧ください。