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本日ここに、令和7年3月定例市議会の開会にあたり、所信の一端を申し述べますとともに、提案いたしました令和7年度当初予算案及び令和6年度3月補正予算案の概要を申し上げます。
はじめに、勝山左義長まつりについて申し上げます。
今月22日、23日の両日、北陸新幹線金沢敦賀間の開業後、初の勝山左義長まつりが 上郡区の一番太鼓を合図に開催されました。時折、雪が降りしきる厳しい寒さの中、2日間で約7万人の市民や観光客の方々が各地区の櫓を巡り、お囃子や趣向を凝らした作りもの、絵行灯を楽しみ、五穀豊穣を願うクライマックスのどんど焼きまで盛況のうちに終了しました。
準備、開催に御尽力をいただいた勝山左義長まつり実行委員会や各地区の関係者の皆様方に、改めて感謝を申し上げます。
また、左義長ばやしの全国への発信や次世代継承のための活動を続けている勝山左義長ばやし保存会におかれましては、昨年8月の「第46回サントリー地域文化賞」を受賞、そして、来月2日に東京渋谷のNHKホールで開催される「第25回地域伝統芸能まつり」への出演が決まり、さらには、大阪・関西万博への出演も計画されています。
保存会の皆さんに対し、心からの敬意と感謝を申し上げますとともに、さらなる発展を御期待申し上げます。
次に、この冬の雪について申し上げます。
今冬は、2月に入り、繰り返し大型寒波が襲来し、8日には、市街地の積雪が140センチに到達したことから「雪害対策室」を設置し、警戒体制を取る中、道路除雪や市民からの要請により水路詰まりなどの対応を行ってまいりました。 その後、一旦落ち着きましたが17日から24日にかけても寒波が訪れましたが、市民生活に大きな混乱もなく、その間に開催された左義長まつりも滞りなく終えることができ、胸をなでおろしているところです。 残念ながら屋根雪下ろしの際の転落事故が市内で数件発生しました。お怪我をされた方々におかれましては心よりお見舞い申し上げます。 毎年のことにはなりますが、雪対策にご尽力をいただいた関係者の皆様、特に連日早朝より道路の除排雪をお願いしました各事業者の皆様には深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。
次に、防災・減災対策について申し上げます
勝山市では、昨年の元日に発生した能登半島地震の被災地に対し、緊急消防援助隊の派遣を始め、市民の皆様からお預かりした支援物資の提供、現地での給水支援、避難所運営支援等を実施いたしました。
私も訪問した被災地の惨状を目の当たりにし、上下水道、電気、道路等の社会インフラが途絶した場合の市民生活の維持に必要な設備や備蓄品の確保の必要性を痛感いたしました。 これらの点について対応するため、1月臨時会におきましてお認めいただいた、トイレカー、ホイルローダー等の車両、収納車庫兼防災備蓄庫、避難所の生活環境改善のためのテント、ベッド等の資機材等を活用し、避難所における生活環境の充実を図ってまいります。
また、本年度は計4回にわたり「勝山市防災会議」を開催し、大規模地震を想定した職員の初動対応や防災の拠点であるまちづくり会館を中心とした拠点避難所のあり方、不足する備蓄物資の充実確保といった防災体制の見直しを反映した「勝山市地域防災計画」の修正を実施しました。
引き続き、小学校体育館など避難所への空調設備の設置や長期避難に必要な設備、物資の洗い出しを行うとともに、各地区へ出向き説明会を開くなど市民のみなさんと共有を図り、訓練等を通じ、より実効性のある計画としてまいります。
次に、観光政策について申し上げます。
昨年3月16日の北陸新幹線金沢・敦賀間開業からまもなく1年が過ぎようとしております。
福井県立恐竜博物館は、1月末の時点で平成12年の開館以来最高となる入館者111万人を突破し、本年度は最終的に年間120万人を見込んでいるとお聞きしております。
また、SNSで脚光を浴びている越前大仏には多くの観光客が訪れています。 新体制に移行して初シーズンとなるスキージャム勝山には昨シーズンを上回るスキー客が訪れています。
また、開業以来、勝山市観光まちづくり株式会社に指定管理をお願いしている道の駅恐竜峡谷かつやまに対し、本年度1,630万円の指定管理料を支出しておりますが、同社からの申し出を受け、令和7年度からの指定管理料を0円とすることといたします。 同社は本年度、道の駅恐竜渓谷かつやまやジオターミナルの飲食物販の売り上げが開業以来最高記録していることなどから今回の申し出になったものです。
また、市内観光事業者による勝山観光戦略協議会の運営や、ふるさと納税業務の中間支援など観光産業の発展を目的に、勝山商工会議所と勝山市観光まちづくり株式会社の両者により、2月20日に一般社団法人KICS(キックス)が設立されました。 今後は、KICS(キックス)と連携を図るとともに勝山市観光まちづくり株式会社を出口とした観光の産業化を一層進めてまいります。
また、勝山市としては、観光立県を目指す福井県や周辺市町との連携、星野リゾートやAPLジャパンなど大手事業者との交渉、増加する宿泊ニーズに対応するための宿泊事業者の誘致、かつやま恐竜の森の整備促進など、次の観光戦略を構築してまいります。
さて、今年の5月23日から25日までの3日間にわたり、平泉寺白山神社において三十三年に一度の「御開帳」が執り行われます。 白山信仰の中心地として古くから栄え、私たちの生活・歴史・文化に深く根ざした平泉寺白山神社や地元平泉寺区にとって非常に重要な行事であり、全国の信仰者や観光客が訪れる一大イベントとなります。
勝山市では、この貴重な機会を活かし、地元平泉寺区と連携し、全国の旅行会社へのPR活動、ポスターや映像を活用した情報発信、平泉寺や白山信仰に関する企画展示の開催など、さまざまな取り組みを進めてまいります。
今回の御開帳を機に、さらに多くの方々に平泉寺を訪れていただけるよう、官民一体となって平泉寺白山神社の歴史・文化を広く発信し、次世代へと受け継いでまいります。
次に、子ども、子育て政策について申し上げます。
勝山市では、「子育て支援日本一」をスローガンに掲げ、こどもまんなか応援サポーター宣言、こども不妊治療と不育症治療費の無償化、18歳までの子ども医療費の無償化、児童センター利用料無料、保育料の第1子からの完全無償化など、全国でもトップクラスの子育て支援策を行ってまいりました。
令和7年度からは、新たにこどもの育ちを応援するため「115(いいこ)みらい応援事業」として、出産お祝い金1万円と0歳から18歳まで年1回6万円、トータルで115万円を給付する新事業に取り組んでまいります。 この事業は、勝山の未来を担うこどもたち自身の夢を応援し、ひいては勝山の未来の発展につなげることを目的とし、こどもたちの口座に直接入金するとともに、こども向けリーフレットなどを作成し、こどもたち自身が夢の実現に活用できるよう対応してまいります。
さらには、全国でもトップクラスの子育て支援策、建設中の勝山中学校などの充実した教育社会インフラの整備、魅力ある自然環境や働く場、生活の場などを組み合わせ、発信することで将来の人口減少に歯止めをかけたいと考えています。
この取り組みを全庁体制で進め、行政、市民、団体、企業が一体となって市全体で勝山市の魅力をアピールし、「人々に選ばれるまち」を目指し、移住定住の促進、人材確保による社会基盤の安定、地域コミュニティの維持などにより持続可能な楽しい笑顔のまち勝山市を目指してまいります。
次に、勝山中学校の建設、開校に向けた進捗状況について申し上げます。
令和9年4月の勝山中学校開校に向け、新中学校本体建設工事については、現在3回目の入札公告を実施中ですが、現地ではすでに既存施設の解体や地下横断歩道建設工事、新校舎建設場所等の整地などが順調に進んでいます。
また、福井県による勝山高等学校第1体育館のリノベーション工事が終了しました。内装に県産材をふんだんに使った明るく きれいな体育館となっています。
同じく福井県による特別教室棟の大規模改修工事の準備が始まっており、令和7年度中には新たな寮の建設工事も始まるとお聞きしています。今後もこどもたちの笑顔を守るために福井県及び勝山高等学校とも随時連絡、連携を図りながら準備を進めてまいります。
中学校再編準備委員会では各部会を開催し、通学方法やPTA組織などについて協議するとともに関係機関等との検討も進めています。委員会および各部会で話し合われた詳細などにつきましては、市ホームページおよび「再編準備委員会だより」にて児童、生徒、保護者や市民のみなさまへ定期的にお知らせをしているところです。
また、昨年11月末に設置した中高一貫教育推進協議会では、新しい中学校での特色ある教育課程や勝山高校と連携した教育活動などについて協議を進めています。
魅力的で効果的な教育環境の整備により、子どもたちが明るく学校生活を送れるよう、開校に向けた準備を遅滞なく進めてまいります。
次に、福井県立大学恐竜学部の開設について申し上げます。
いよいよ本年4月に、福井県立大学恐竜学部が開設され、30名の新入生が県立大学永平寺キャンパスに入学されます。 そして来年、令和8年4月には勝山キャンパスが県立恐竜博物館の隣に開校し、この4月に入学し、来春2年生となる恐竜学部の1期生の皆さんが勝山キャンパスに通うこととなります。
市では、恐竜学部生向け集合賃貸住宅助成金を継続するほか、来年度からの恐竜学部生の市内への居住を推進するため、アパート等の家賃助成をはじめとした各種学生支援制度を開始してまいります。
引き続き県立大学や関係機関と連携しながら、恐竜学部生、市内の中・高校生、市民とともに本物の恐竜を学び、楽しめる環境を整え「日本一の恐竜のまち勝山」を実現してまいります。
次に、令和7年度当初予算及び令和6年度3月補正予算の概要について申し上げます。
令和7年度当初予算額は、「子育て支援のその先へ こどもの未来に全力投資! ~こどもの可能性が広がる勝山市へ~」をキャッチコピーに掲げ編成を行った結果、161億円となり、前年度比8.6%の増額となりました。
この当初予算規模は、市制施行以来、最高規模となっております。
市税について申し上げますと、個人市民税は、令和6年度に実施された定額減税による減収の影響が少なくなることから増額を、法人市民税は、令和6年度の決算見込みから減額を見込みました。
固定資産税のうち、土地は今後も地価の下落傾向は続くと見込み減額、家屋は新築家屋等が増加しましたが過疎特措法等に基づく減免制度の適用によりほぼ前年度並みになると見込んでおります。
償却資産においても減免制度の適用があります が、それ以上に設備投資が堅調に推移しておりますので増額を見込みました。
その他、たばこ税は売上本数の減少が続いておりますので減額を、入湯税は入湯客数が伸びている状況を踏まえ増額を見込んでおります。
以上のことから、市税全体では、前年度比5千6百万円増額の26億9千7百万円を見込んでおります。
地方交付税につきましては、普通交付税が、法人市民税の減収などにより基準財政収入額が減額となったことに加え、基準財政需要額についても職員給与費の増額、ガバメントクラウド利用料等の増額及び地方財源不足額が解消されたことにより臨時財政対策債振替相当額が無くなった結果、前年度比3億1千7百万円増額の39億1千万円を見込みました。
特別交付税6億円と合わせた地方交付税全体では、前年度比3億1千7百万円増額の45億1千万円を見込んでおります。
以上のことから、主な一般財源額合計は、前年度比3億1千6百万円増額の80億9千万円となっております。
市債につきましては、建設事業等に充てる普通債の発行額は25億2千5百万円で、前年度比8億百万円の大幅な増額となりました。これは、勝山中学校校舎等建設事業が本格化することが大きく影響しております。
このほか、ビュークリーンおくえつ基幹改良工事、防災行政無線や高規格救急車の更新、市役所庁舎の地下配電盤等地上化工事及び防災情報ネットワーク再整備負担金など、緊急防災・減災事業債の発行が増額となっております。
令和7年度末の市債残高については、臨時財政対策債分が前年度比4億2百万円減額となるものの、普通債分が前年度比17億9千万円の大幅な増額となることから、全体でも前年度比13億8千8百万円の増額の151億3千万円となる見込みです。
まず最初に、先ほども申し上げました0歳から18歳までのすべてのこどもたちへ新しい給付制度として、「応援金115(いいこ)」を創設します。 この制度は、勝山の未来を担うこどもたちの夢を応援し、ひいては日本の未来の発展につなげることを目的とします。給付額は、毎年一人6万円を給付することとし、出生時には出産お祝い金1万円と合わせ7万円を給付します。0歳から18歳までの給付総額は、一人115万円とします。「応援金115(いいこ)」は、制度創設から10年後の出生数と、こどもの転入増加数を合わせて115人を目標に掲げ、これまで取り組んできた第一子からの保育料完全無償化を始めとする子育て支援施策と併せ、全国へ「こどもの可能性が広がるまち勝山市」をPRしていきます。
第6次勝山市総合計画に掲げた政策目標の2つの「創る」、地域の未来を創る、まちの楽しさを創る。そして4つの「守る」、子育て・教育、福祉・健康、産業・経済、防災減災・生活環境の6つの柱に沿った施策を申し上げます。
まず、2つの「地域の未来を創る」、「まちの楽しさを創る」では、令和8年春の福井県立大学恐竜学部勝山キャンパス開校を控え、市内に居住する学生に対し、学び応援金、家賃、自動車維持費及び引っ越し費用の助成を開始し学生の市内居住を誘導、さらには、勝山高校が取り組む地域みらい留学を推進するため、地域・教育魅力化プラットフォームに参画し、生徒の勝山市への流入、まちの活性化を図ります。
地域おこし協力隊員については、待遇を大幅に改善するとともに、関係人口の創出や地域活性化の取り組みを進め勝山市への定着・定住を図ります。
また、多文化共生社会を推進するため、大阪・関西万博に出演予定のインドネシア舞踊団を招き市民を対象とした公演会、世界各地の料理教室など多文化交流イベントを開催します。
その他、小学校5・6年生を対象に英会話での日常を体験する「イングリッシュ・サマー・クラブ」の開催、まつり芸能集団「田楽座」の公演、勝山の冬の夜を彩る、ゆめおーれ勝山のイルミネーションの復活、近年インバウンドやSNS等で脚光を浴びている越前大仏を会場とした「20歳のつどい」を開催します。
政策目標の4つの「守る」のうち、「子育て・教育を守る」では、「応援金115(いいこ)」の創設ほか、保護者の就労要件を問わず時間単位等で柔軟に保育園を利用できる「こども誰でも通園制度」を実施、こどもたちが抱える多様な悩みを早期に発見し適切な支援を行うため「こども食堂」に助成、産後ママの授乳等のトラブルや体調不良、サポート不足などを解消するため産後ケア事業を拡充します。
また、勝山市がこれまで行ってきた子どもたちの英語力向上や異文化理解の増進に向けた取り組みの集大成として、勝山高校が実施する英語を公用語とする国への海外研修旅行費用に対し助成、小学校体育館に空調設備を設置するための実施設計、市立図書館のLED化工事を実施します。
次に、「福祉・健康を守る」では、介護人材不足に対応するため、社会福祉法人等が従業員に介護福祉士実務者研修を受講、介護福祉士資格を取得させるために負担した費用全額を助成します。
予防接種関連では、4月から65歳以上の高齢者を対象に帯状疱疹の定期接種を始めます。
また、これまでの子宮頸がんワクチンのキャッチアップ接種を1年延長し実施します。
また、「海の日」と「海の安全」への理解を深めるため、様々な水辺のレクリエーションを実施する「砂 ASO Beach(すな アソビーチ)」、キャンプに興味のある親子を対象に、郷土教育を目的にキャンプの楽しさを実感できるフィールドワークを実施します。
次に「産業・経済を守る」では、ふるさと納税業務全般を勝山商工会議所及び勝山市観光まちづくり株式会社で組織する一般社団法人KICS(キックス)に委託し、地域に密着した返礼品開発や寄附額の増加を目指します。
勝山市観光まちづくり株式会社が道の駅隣接地に整備する青果市場の建設については、令和6年度に引き続き助成を行います。
また、近年頻発している大雨災害時の浸水被害を低減させるため、水田の雨水貯留機能を高める田んぼダムを整備、クマ類が指定管理鳥獣に指定されたことを受け、人の生活圏への出没抑制や個体数調整を目的とした捕獲を実施します。
令和4年度から休止状態となっている東山いこいの森については、民間事業者の経営能力を活かし魅力ある施設に再生させたいと考えております。
そのほか、福井県が東京銀座に設置しているアンテナショップ「ふくいの食の國291」を活用して首都圏PR事業を開催、道の駅隣接地にドッグランを整備、大阪・関西万博に出演する勝山左義長ばやし保存会を支援したいと考えております。
次に「防災減災・生活環境を守る」では、防災行政無線を電波伝搬エリアが広がる最新機種へ市役所内の親局を手始めとして計画的に更新を行い、今後、土砂災害警戒区域、浸水想定区域内の希望者には戸別受信機を無償で貸与してまいります。
大雨災害で、多くの家屋や道路、田畑に甚大な浸水被害を及ぼした畝見川、宮前川、暮見川及び滝波川において県が実施する改良工事に対する負担金のほか、普通河川等に堆積した土砂等の浚渫工事を実施します。
上水道事業会計で実施する重要給水施設への配水管の耐震化工事、下水道事業会計で実施する昭和町2丁目地係の内水氾濫対策事業についても出資を行います。
また、固定価格買取制度が満了した方、いわゆる「卒FIT」の電力を買い取り、勝山市体育館ジオアリーナに供給し、再エネ電力の地産地消を推進、小水力発電に取り組む事業者が行う再生可能エネルギー発電設備の整備費用に対し助成を行います。
その他、国土交通省のネイチャーポジティブ公園事業の採択による長尾山総合公園の2期エリア整備に向け、公園内の自然環境調査を実施し、生物多様性の確保に資する公園となるよう「緑の基本計画」を改定します。
以上、事業の選択と集中を図ることで、新規事業として 92事業、約7億7千364万円、拡充事業として22事業、7千684万円を見込み、「楽しい笑顔のまち勝山市」の実現に向けた予算としています。
財政調整基金繰入金については、前年度比6億円減額の1億2千5百万円となり、令和7年度末の財政調整基金残高は、18億3千9百万円となる見込みです。
なお、令和6年度3月補正予算につきましては、各事業の精算によるもののほか、今月上旬の「数年に一度レベルの今季最強最長寒波」による市道除雪費用の増額などを計上しております。
本日の定例市議会に提案いたしますのは、今ほどの令和7年度勝山市一般会計予算を含む35件であります。これら35件につきましては、後ほど関係課長から、それぞれ提案理由を申し述べますので、よろしく御審議の上、妥当な御決議を賜りますようお願い申し上げます。