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育て!勝山人 ~高校生へのアプローチ「勝山人学習」~

印刷用ページを表示する 更新日:2018年12月5日更新

勝山人学習 基調講演(平成30年10月19日)

はじめに 

 市長の様子1皆さんおはようございます。私は今日を非常に楽しみにしていました。勝山高校1年生全118人の方々から事前に質問状をいただきまして、これを読んでこんなことを聞きたいんだなとか、このことについてはどういうふうに話そうかなとか、いろいろ思いがあり、いいきっかけをいただいたということで、皆様にお話をしたいと思っています。  

 

住みやすい町、住みつづけたい町へ

 まず、なにが嬉しかったかといいますと、市長になってから18年目になりますが、2000年、21世紀の最初の年に市長になりました。非常に張り切って市政に取り組んできました。その2年後に皆さんが生まれているわけですので、市長は私しか知らないという状況だと思います。 18年間何をしてきたか、端的に言えば住みやすい勝山を作る、そして勝山に住んでいることが喜びとなって次の世代もまた勝山に住み続けたいというまちを作りたいということでいろいろなことをやってきました。 そういったことの目標として、「小さくてもキラリと光る自信と誇りに満ちた勝山」というスローガンを掲げてそれに向かって邁進してきました。
 まちづくりというのはハードとソフトの二つの分野があります。ハードというのは、市民会館や学校を建てる、ジオアリーナを建てるとか、モノを作ることがハードです。 ソフトというのは、まちづくりのいろいろなノウハウを市民と一緒にやっていく、勝山市の政策の中にそれを取り組んでいくということです。例えば先ほどいいました環境に対する取り組みを、行政と市民が一緒になってやっていくというのがソフトです。


子どもたちの教育環境

 ソフ高校生の様子1ト、ハードとも、いろいろなことを考えながら、勝山市がさらに良くなるように、そしてさらに住みやすくなるようにいろいろ努力をしてきたわけです。そのなかで教育面については、小学校、中学校、幼稚園、保育園、さらには出産の助成ということで、出産しやすい環境を作る、そして出産しても経済的にも支援をしていくということです。例えば保育園保育料は福井県では一番安い部類に入ります。それから、小学校では放課後児童教室も充実させまして、普通有料のものですが、勝山市は無料で利用できます。さらには教育内容についても、自然を大切にする、いわゆるESDスクールも全小中学校が加盟しています。九頭竜川を清掃したり、浄土寺川や皿川をきれいにしようという運動もしてもらっています。また、ほたるや赤とんぼの舞うふるさとづくりなどもしてもらっています。

子どもの頃は勝山が大好きでも・・・

 勝山市に対する思いはどんどん高まってきて、私が非常に嬉しいのは、小学校中学校にアンケートをとったことがありますが、勝山市が大変好きだ、どちらかといえば好きだという人を合わせたパーセンテージが90%を超えたという現実がありました。非常にありがたいと思っているわけです。
 しかし、それに安閑としていてはダメなんですね。実は安閑としていたのです。これで勝山市の次世代の人は勝山市が好きだから勝山市のためにいろいろなことをやってくれるなと思っていました。ところが、勝山市で生まれて、勝山市の外の大学へいったり、勝山市の外で就職をしたりして、勝山市を離れる人がずいぶん多いわけです。

勝山市を離れていく現実

 勝山市の人口の動きの中で出ていく人を転出といいますが、転出と転入の数が出ています。平成29年度では転出が553人、転入が411人でした。転入者のほうが少ないわけです。この人たちを食い止め、出ていった人がもう一度入ってくることを伸ばしていきたい。そうすることで人口は増えていくわけです。非常に困るのは出ていったきり帰ってこないということです。これが今までの現実です。そういうことに思いを馳せたとき、勝山市が好きでいいまちだと思っているにも関わらず帰ってこないのはどういうことかということを考えました。


高校生へのアプローチ不足

 それには一つ、勝山市に対していいまちを作ろうと思ってやってきたことが、小学校中学校までは環境なり、学習内容なりで勝山市に密着した内容によって、勝山市のことがよくわかるし、いいなと思って過ごしても、高校生になったときにそのままの状態が続いているのかということです。
 私自身もそうですが、高校生というのは大人へ差し掛かる入口です。ですから、いろいろなことを考える時期でもあるのですが、それ以外に勉強や部活が大切になり、そちらにウエイトがかかるとなかなかまちのことに関わっていられなくなるのです。
 さらには勝山市としては大人の人にはいろいろな働きかけをしている、まちづくりについて意見をもらい、話し合いをしています。小学校中学校でも学習の中で勝山市のことがわかるようなジオパークの学習や環境に対する学習、赤とんぼの生態に対する研究などをしていました。けれども高校生になった途端、子供から大人に差し掛かる時期に全くそれがなくなってしまいます。

高校生へのふるさと教育の大切さ

 市長の様子2私の経験ですが、大学が東京だったので、東京の環境になじみ、東京のことはわかるようになるのですが、ふるさとのことを振り返っても、いまどういう状況なのか、大人になったとき、ふるさとを振り返ったときになんら情報が入ってこない。たまに帰ってみると変わっているなとは思うものの、この先どうなるのだろうとか、親に聞いても的確な答えが返ってこない場合もあります。
 そのうち卒業を迎えて、就職の話をすると、勝山に帰ってきても何もないからそちらで就職をしろよといったようなことを言われると、その方向にいってしまいます。これが人口減少に拍車をかけるひとつの要因だと思うのです。都会に就職して自分がやりたいことをやるというのも一つの大きな道だと思います。しかし、振り返った時に勝山市のことを何も知らない、もう一回勝山に帰ってきて勝山のためにやりたいとか、勝山の中で何かをやりたいという思いにつながらないんです。
 それは先ほど言いましたように、小学校中学校の頃は勝山市になじんだような思いができるような育てられ方をしていても、高校生になった途端にそこから離れてしまうと、一番大切な時に振り返る勝山がなにも像として浮かんでこないという偏ったふるさと教育があったのではないかという思いがありました。

次の時代のために何を作るか

 数年前から高校生に対して働きかけをして、市がやっていること、これからの取り組みに対することに高校生の意見を取り入れながら考えていきたいと思うようになりました。さらには今までいろいろやってきたけれどもこれは何のためにやってきたかというと、今生きている人のためというだけでなく、次の時代のために何を作るかということが非常に大切で、大人になっていく皆さんの、この大人になっていくときの勝山市がどんな勝山市かということを胸に置きながらまちづくりをしていかなければならないということです。
 そのためには、皆さん方にバトンタッチをしなければいけないわけです。今、生きている人たちはみんな、皆さん方にバトンタッチをしなければならないわけです。しかし、バトンタッチをした走者が、どちらの方向に向いてどんな走り方をしたらいいか、その意識だけはあったとしてもそれに全力を集中して、一方向に向けて走るということがなければ、リレーは成立しないわけです。そういったことを勝山市政としては抜けていたのではないかという自責の念に駆られております。


高校生へアプローチ開始

 しかし、思い立った今、正しいことを見つめてそちらに向かって進もうと思い、昨年あたりから、勝山高校生、奥越明成高校の学生たちと話し合う機会を作り、そのスタートが切れ、その話を校長先生にしたところ、素晴らしい機会を作ってもらいました。  118人の質問項目を見ると、やらないといけないなと思い、また、やるべきかなと思っていたことが初めて具体化して集約されているような感じがします。皆さんがこういう質問を出してきたということは、皆さんに働きかけをしなかった、皆さんが勝山市のことを知りたいにも関わらず、何も知ることができないという不満、疑問が集約されていると思います。

高校生と話し合う

 高校生の様子2私たちの勝山市は大人に対して様々な働きかけをしています。例えば白山平泉寺のシンポジウムや、まちづくりのありかたをどうするかとか、私が市長になってからはエコミュージアムというそれぞれの地域の特性を伸ばしながら勝山市全体の底上げを図ろうといったことで、地域住民と話し合うこと、さらには今もやっているが勝山10地区の人と市長と部長が一つの席でいろいろやり取りしながら勝山のことを話し合うこともやっている。
 しかしそういう場に皆さんは入れないわけです。入ろうと思っても、日曜日に平泉寺のシンポジウムがあるから行こうと思っても勉強や部活などいろいろなことがあってその時間が取れない、そういうことをはっきりと思いました。
 市民に対する語りかけはしているものの、高校生に対しての時間がなかった。その不満、疑問が集約されていると思います。 今日は、市が全力で回答します。皆さんの疑問、やりたいことをどんどんぶつけてください。
 ただ、初めての機会で、疑問に答えるのは私でなく部長や課長や担当者になります。答えるだけでなくやりとりもあると思います。 市のトップなのでいろいろな方向性について市の内部でやりとりをしながら常に指示しています。基本的には課長部長の言うことは市長が言っていることと同じだと思っていますが、細部にいったときに回答や話の中で疑問があるかもしれません。
 もしも疑問や突っ込みたいことがあれば、手紙やメールで直接出してください。そういう人との話し合いはしたいと思っています。今年も皆さんの代表と話をする機会があります。そういった中でも、私の考えを述べていきたいし、勝山市の在り方についていろいろ話したいと思っています。

終わりに

 小学校中学校まではいい育て方をしている思っていますが、高校生の時の市との対話がなかったために、勝山市を振り返り、勝山市を考える時間が持てなかったことは、勝山市の責任だと思っているので今日を機会にしっかりと対話をしたいと思っています。この先、勝山以外で勉強するなり就職するなりして、自分の道を探ってもらうことは大いに結構です。しかし本当の勝山市の将来の姿を常に見ながら、帰ってきて何かをしよう、また、勝山市のためにこうしよう、育ってきた勝山市をもっとよくして、住みやすいまちにしようという気持ちになってほしいのです。そのための材料が今日得られることを願っています。
 皆さんの中から将来の市長になる人が現れることを大いに期待しています。今日からの勝山人学習が実りあるものになるように期待しています。