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令和2年3月定例会招集あいさつ

印刷用ページを表示する 更新日:2020年2月25日更新

 本日ここに、令和2年3月定例市議会の開会にあたり、所信の一端を申し述べますとともに、提案いたしました令和2年度当初予算案及び令和元年度3月補正予算案の概要を申し上げます。

 

 最初に今冬の少雪について申し上げます。

 今冬は記録的な暖冬、少雪となり、市街地で降雪を観測したのはわずか7日間となっており、その積雪累計は88センチ、最大積雪深も23センチと観測史上最低となる見込みです。

 この記録的な暖冬により、平年の降雪では2億円程度となる、除雪委託料は今年度は約6千万円となる見込みであることや、屋根雪おろしなどの除排雪などの市民負担は軽減されています。しかしながら一方では、2年連続の少雪は、除雪委託業者の機械オペレーターの確保や、除雪機械保有など、中長期的な除雪請負体制の維持に大きな影を落としています。

 またこの雪不足はスキー場の経営を直撃し、地域経済への影響は多大なものとなっています。なかでも雁が原スキー場につきましては、運営を担っていた勝山観光施設株式会社から、2月3日破産手続き開始の申し立てが行われ、2月5日には福井地方裁判所において破産手続き開始が決定されております。

 同スキー場は、開業当初から約60年もの間、市民はもとより、県内、関西方面の多くのスキーヤーに親しまれ、近年は多くの県内小学校のスキー体験学習にも利用されており、このような結果となったことは、市としても大変残念に思っております。

 一方、勝山市は市有地をスキー場用地として、勝山観光施設株式会社に貸付している地権者としての立場から、今後は破産管財人による一連の手続き等に適切に対応してまいります。駐車場を含む跡地の利活用については、議会をはじめとする関係者の皆様と協議を進めながら、検討してまいりたいと考えております。

 

 次に、年の市、左義長祭りについて申し上げます。

 勝山市の冬の風物詩である「勝山年の市」は、好天に恵まれ、昨年より1,000人多い2万3千人の人出で賑わいました。本町通りには、おやきや鯖の熟れずしなど、勝山名物の販売や、ござぼうし、わら・竹細工、鮭の熟れずしなど「むらの達人」による製作実演販売や、市内地域団体、荒土小学校児童、北部中学校生徒などによる地元のオリジナル商品の販売など、50の出店があり、5年前から始まった、「まちセリ」では、セリ人の威勢の良い声で盛り上がり、一層の賑わいを見せていました。

 奥越に春を呼ぶ勝山左義長まつりは、今年あいにくの小雨の中、沢町の櫓の一番太鼓で始まりました。雪が全くない市内では、各地区の櫓での左義長太鼓の競演が多くの人たちを魅了し、2日間で約4万人の市民や観光客でにぎわいを見せ、クライマックスのどんど焼きのフィナーレまで、2日間、盛況のうちに終了いたしました。準備・開催に御尽力をいただいた勝山左義長まつり実行委員会や各地区の関係者の皆様方には、改めて感謝を申し上げます。

 

 次に、ジオパークの取り組みについて申し上げます。

 恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークは、昨年12月25日開催の第38回日本ジオパーク委員会において審議され、今後4年間の活動継続が認められました。

 本年1月22日に届いた審査結果報告書では、「勝山市が推進してきたエコミュージアム活動がジオパークに引き継がれ、今では地域住民それぞれの思いがジオパーク活動を強く推進している。特に、まちづくりにおける地域文化や、地域資源を尊重した活動が、地域振興につながっており、ボトムアップで推進するジオパーク活動の一つを示している。」と高い評価をいただきました。

 一方、ジオサイト等の保全計画の策定や、ガイドの育成など、いくつかの改善すべき点も指摘されております。

 今後も市民や関係機関と連携を図りながら、指摘のあった点を改善しつつ、恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークの魅力をさらに高めてまいります。

 

 次に、学校教育関係について申し上げます。

 中学校の再編については、昨年の「中学校再編検討委員会」からの答申に基づき、中学校と県立勝山高校との併設及び中高連携に関し、現在、県教育委員会と事務レベルでの協議を行っているところです。県では、高等学校教育問題協議会において、今後の県立学校の在り方について検討を進めているところであり、その整合性も踏まえ、できるだけ早く中高併設に対する県の考え方をまとめていただきたいと考えています。

 また、勝山市にとって不可欠な勝山高校については、今後も魅力ある高校として存続するよう、同校の同窓会、及び関係者有志によって「勝山高校魅力向上会議」が立ち上げられ、様々な側面からの魅力向上策について協議・検討が行われているところです。今後、具体的な方策提案が示されれば、市としても市議会と十分協議し、必要な支援等について検討していきたいと考えています。

 

 次に新型コロナウイルス感染症について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症については、中華人民共和国、湖北省において拡大し、国内でも発症者が出ています。県内の健康福祉センターにおいて、感染が疑われる場合の受診調整窓口として帰国者・接触者相談センターが設置されています。

 市においては、予防対策としての手洗い、うがい、咳エチケットなどについて、市ホームページや広報等で市民に周知しているところです。今後は国内での発生状況を注視し、本日政府から発表される予定の基本方針に基づいて、市民に予防対策について周知を図ってまいります。

 

 次に、令和2年度当初予算の編成方針と主な施策について、及び令和元年度3月補正予算の概要について申し上げます。

 まず、国の地方財政対策では、幼児教育・保育の無償化や、会計年度任用職員制度への対応で歳出が膨らみ、地方交付税の総額は、自治体に配る出口ベースで前年度比2.5%増の16.6兆円と、財政需要に対応するため2年連続で増加。交付税や地方税などを合わせた一般財源の総額は前年度比1.2%増の63.4兆円と過去最高を更新しました。

 

 このような中、当市の令和2年度の予算編成にあたっては、将来に過大な負担を残さないための財政健全化を最重要課題とすること。障がい者や高齢者、未来を担う子どもたちなどすべての人が安心で、健康に生活していくための環境整備に積極的投資を行うこと。勝山の魅力をより強力に発信し続けていくこと。

 この三点に最大限留意して予算を編成しました。

 その結果、勝山市令和2年度一般会計当初予算は、前年度比1.4%減、金額にして約1億6千4百万円減額の約116億8千万円となりました。

 まず、一般会計の歳入について申し上げます。

 市税について、固定資産税は、家屋分が大手企業の企業立地促進法による課税免除期間が終了したことなどにより増額、償却資産分も回復傾向にあり、全体で増額を見込みました。その他、軽自動車税も、消費税率引上げに合せて導入された、環境性能割分が増額となると見込みました。一方、法人市民税は、地方税収の偏在を是正する目的で創設された、地方法人税の拡充に伴う影響などから大幅な減額、市たばこ税も、販売本数の減少から減額を見込み、その結果、市税全体で前年度比、約2千6百万円減額の約27億7千3百万円となり、2年連続で28億円を下回るという厳しい見込みとなりました。

 地方交付税については、国の地方財政計画における地方交付税と、臨時財政対策債を合わせた実質的な総額は、国全体で19.7兆円と前年度比3千億円の増額となりました。当市における臨時財政対策債を合わせた実質的な普通交付税総額は、幼児教育無償化による地方負担額の増額、地域社会再生事業費創設による増額などを見込み、前年度比、約3千7百万円増額の37億6百万円を見込んでおります。

 また、特別交付税については、前年度比約1千万円減額の6億円を見込んでおります。

 以上、これらを含めた主な一般財源の合計は、前年度に比べ、約2千万円増額の約77億8千3百万円となっています。

 財政調整基金繰入金については、会計年度任用職員制度の導入による非正規雇用職員の処遇改善や、介護保険特別会計、下水道事業特別会計への繰出金などが増額となりますが、地方交付税などの主な一般財源の増額や、退職手当組合への負担金の減額などにより、約9千6百万円と2年連続で1億円を下回る見込みとなりました。

 この結果、令和2年度末財政調整基金残高は、昨年度当初予算見込みより約2億2千万円増額の約11億1千百万円となる見込みです。

 

 次に、一般会計の歳出について、主要な施策を説明を申し上げます。

 まず最初に、子育て環境関連施策では、今年度より新たに妊産婦等への支援を充実させ、妊娠から子育てまで、切れ目のない総合的子育て支援策を展開します。

 主な内容としては、「妊産婦の医療費無料化」「妊産婦バス無料乗車券の交付」「産後ケア、ショートステイ」「新生児聴覚検査」等に取組むなど、母子保健事業を充実させていきます。保育料の軽減についても、国の幼児教育・保育無償化の対象とならない0~2歳児の無償化を拡充していきます。また、子ども医療費窓口完全無料化についても対象を18歳までに拡充、さらに、学童期の支援強化策のひとつとして、全児童センターで利用希望に応じ、土曜日、夏休み等は午前7時半開館に対応していきます。

 

 次に、教育環境関連施策については、様々な教育場面での利活用を想定した可搬式の電子黒板ユニットの導入や、学習指導要領の改訂にあわせたデジタル教科書の更新、「プログラミングフェス2020」の開催支援など、継続してICT教育環境を充実させていきます。また、ESD教育の推進を図るほか、他市に先駆けて取組んできた英語教育を更に強化していくための外国語指導助手を継続して独自配置するとともに、きめ細かな教育の推進や、教員の負担軽減のための学校支援員等を拡充して配置します。

 

 次に、市民の生活環境関連施策については、消防緊急通信指令システムを整備し、あらゆる発信元の119番通報に対し、地図情報を連動させるほか、聴覚障がい者や外国語での通報にも対応し、市民の安心確保を図っていきます。また、医療人材及び介護人材確保奨励金に加え、新たに障害福祉人材確保奨励金を創設し、障害福祉サービス事業従事者の確保支援を図っていきます。その他、障がい者の方々の社会参加を促進していくため点訳奉仕員養成講座を新たに開催、シルバー人材センター活動への助成を拡充、健康ポイントラリー事業の拡充強化、「わかりやすい検診通知」を用いることでの受診率の向上など、取組みを強化します。

 

 防災、防犯への取組みとしては、昨年モデル的に導入した防災情報音声配信サービスを本格運用するほか、防犯カメラの設置に対する助成に取組んでいきます。

 農林水産関係では、獣害支障樹木の伐採支援、サルによる農作物被害の低減に向けた新たな取組み、道の駅への出荷奨励金制度の創設など、農林水産業の振興を図っていきます。

また、森林環境譲与税を活用し、民有林の管理意向調査を行うほか、市有林特別会計において官民含めた総合的な森林経営管理計画の策定準備に着手します。

 

 次に、魅力発信関連施設については、勝山市道の駅「恐竜渓谷かつやま」のオープンを契機に、日本版DMO勝山市観光まちづくり株式会社との協働による年間を通じた集客イベントを開催し、順調な運営が継続されているジオターミナルとの有機的な連携を促進させていくことで、勝山の魅力発信と観光の産業化を加速させ、地域社会と経済の好循環を確実なものとしていきます。また、道の駅隣接地への民間企業進出にも支援を充実していきます。

 また、わがまち助成事業については、「恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク魅力活用事業」として、SDGsを組み込んだ事業への助成事業として新たなスタートを切ります。

 国の地方創生交付金の支援を受け展開していく、ふるさと勝山回帰事業においては、昨年に引続き官民一体となって、地元企業の魅力を発信し、長期インターンシップやダブルワークへの取組みを推進するなど、実践型の事業を展開していきます。

 

 また、住民票等、交付用紙の偽造防止印刷に、新たに恐竜デザインを用いることや、勝山ニューホテル客室の一部を恐竜をコンセプトにした、「恐竜冒険ルーム」としてリニューアルするなど、恐竜ブランドの更なる魅力アップを図っていくとともに、昨年認定された日本遺産、「400年の歴史の扉を開ける旅ー石から読み解く中世・近世のまちづくり 越前・福井ー」の魅力発信を本格化していきます。

 そのほかにも、音声認識ソフトや、RPAによる事務改善、次世代自動車の観光分野への展開に向けた検証など、AI、IОT技術導入にも積極的にチャレンジしていきます。

 また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連では、聖火リレーや採火イベントを開催するほか、大会期間中にはバドミントン競技を中心に、パブリックビューイングを企画し、大会を盛り上げていきます。

 

 以上、引き続き厳しい財政状況の中にあっても、事業の選択と集中を図りながら、新規事業においては88事業、8億3千5百万円、拡充事業として24事業、2億3千2百万円を見込むことで、「いつまでも住み続けたくなるまち」「いつかは帰りたくなるまち」であり続け、50年、100年先まで持続して発展し続けるまちの実現に向けた取組みをより深化させることに意を用いた編成としました。

 昨年から策定に取り組んでいる次期総合計画においても健全財政の堅持と投資のバランスを図っていきます。

 なお、令和元年度3月補正予算につきましては、事業費の精算及び組替え、国の補正予算に伴うもののほか、障害者総合支援法に基づく、障害者福祉サービス費の増額、介護サービス給付の伸びなどから、介護保険特別会計への繰出金などが増額となっております。また、将来の市債償還に必要な財源を確保するため、減債基金に積立てを行っております。

 

 本日の定例市議会に提案いたしますのは、令和2年度勝山市一般会計予算を含む38件であります。これら38件につきましては、後ほど関係部長からそれぞれ提案理由を申し述べますので、よろしく御審議の上、妥当な御決議を賜りますようお願い申し上げます。